無断欠勤は解雇できる?解雇となり得るケースと手順を解説

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事業者のなかには、無断欠勤が続いている従業員を解雇したいと考えている人もいるでしょう。解雇処分は従業員にとっても負担が大きいため、慎重に判断しなければなりません。

この記事では、無断欠勤を繰り返す従業員を解雇できるかどうか解説します。事業者の皆さんは、ぜひ記事を参考にしてください。

無断欠勤が続いた場合、解雇はできる?

結論から言うと、無断欠勤が続いた従業員の解雇自体は可能です。ただし法律で明確に基準を定めているわけではないため、裁判で争われることも珍しくありません。

ここで一つの目安になるのが、過去に争われた裁判例(東京地判平成12年)や行政通達です。裁判例や行政通達では、無断欠勤が2週間以上続き、会社からの出勤督促にも応じない場合に懲戒解雇が認められるとしました。

社員が無断欠勤をする理由

社員が無断欠勤するのには、さまざまな理由が考えられます。ここでは、個人的な理由と仕事上の理由に分けて説明します。

個人的な理由

無断欠勤を繰り返す個人的な理由として考えられるのが、次の4点です。

  • 体調不良
  • 精神的な問題
  • 自己管理能力の欠如
  • 緊急事態

それぞれの理由について見ていきましょう。

体調不良

従業員が無断欠勤しているのは、重度の体調不良で連絡ができていない可能性もあります。重い病気に罹っていたり、階段で転倒してケガを負っていたりしているかもしれません。とくに従業員が一人暮らしであれば、この状態では連絡をする余裕がないでしょう。

精神的な問題

うつ病や適応障害、不安障害といった精神疾患も、無断欠勤につながる要因の一つです。精神疾患は出勤する意欲が削がれるだけではなく、体調悪化も引き起こします。

重度の場合、会社に連絡することが困難な場合もあります。以前に診断書を提出していたり、何か悩んでいたりしていた場合は精神疾患の可能性も考慮しておくとよいでしょう。

自己管理能力の欠如

体調不良や精神疾患ではなく、自己管理能力の欠如が無断欠勤の原因になる場合もあります。たとえば前日の深夜まで何杯もお酒を飲んでおり、午後に起きてしまったというケースです。

普段から遅刻癖の激しい人は、遅刻した際に上司から注意を受けているでしょう。「叱られに行くのが嫌だ」と感じていれば、無断欠勤を選ぶことも考えられます。

緊急事態

無断欠勤する理由として、事故やトラブルに巻き込まれている可能性もあります。また自身ではなく、家族が何かのトラブルに巻き込まれているかもしれません。大きな問題につながる恐れもあるので、無断欠勤した従業員の状況をしっかりと確認することが大切です。

仕事上の理由

健康面や性格面だけではなく、仕事上の理由で無断欠勤をする人もいます。主に考えられる原因はこちらです。

  • 人間関係の悩み
  • 仕事内容への不満
  • 職場環境への不満
  • 退職を考えている

これらの理由についても簡潔に解説します。

人間関係の悩み

無断欠勤している従業員のなかには、人間関係に悩まされている人もいる可能性があります。職場でのいじめやハラスメント、同僚との不仲が考えられる要因です。もめごとが大きくなると、より無断欠勤につながりやすくなります。

仕事内容への不満

仕事内容への不満も、無断欠勤につながりうる要素の一つです。仕事内容が合わなかったり、やりがいを感じられなかったりして、モチベーションを失っている可能性があります。

また残業も多く、責任が重すぎると感じている人は、バーンアウトしやすい点に注意しないといけません。出勤意欲を失った結果、無断欠勤につながってしまいます。

職場環境への不満

職場の雰囲気が悪い、長時間労働が常態化しているといった職場環境への不満も、無断欠勤につながりやすくなります。無断欠勤は褒められた行為ではないものの、このような環境を是正しない会社は心証が悪くなるでしょう。

仮に無断欠勤している従業員を解雇したとしても、総合的にみて不当な処分とされる可能性も高まります。従業員のみに責任があるとは考えず、自社の職場環境を見直すことも大切です。

退職を考えている

無断欠勤をしている従業員は、退職を考えているケースもあります。退職の意志が固い人は、会社との連絡を絶とうとする人も少なくありません。ある日退職代行サービスより、退職について知らされることも考えられます。

無断欠勤による解雇が有効と認められるケース

次に無断欠勤による解雇が、有効と認められるケースを紹介します。ただし実際にはさまざまな要素が考慮されるため、弁護士に相談しながら手続きを進めてください。

長期間の無断欠勤

まず解雇が認められやすい条件として、長期間の無断欠勤があります。無断欠勤が長く続けば、会社の業務にも支障をきたしてしまうためです。

「長期間」の捉え方ですが、これまでの裁判では「2週間以上」を基準としています。しかしあくまで目安であり、状況によって見解が変わりうることも念頭に置いてください。

繰り返しの無断欠勤

2週間に満たない無断欠勤であっても、何度も繰り返しているときは解雇が認められる場合もあります。従業員側に反省の色がみられず、会社にとって損害が生じているかがポイントの一つです。

ただし無断欠勤を繰り返す理由が、精神疾患や職場環境に基づくものであれば解雇が認められにくくなります。まずは従業員がなぜ無断欠勤を繰り返すのか、原因を確認しましょう。

無断欠勤の理由

正当な理由がないと客観的に判断されたら、無断欠勤による解雇が認められやすくなります。たとえば会社に連絡を入れず、無断で長期の旅行をしていたケースです。従業員側に帰責事由があるとみなされれば、解雇が有効とされる傾向にあります。

連絡をしない

会社を休んでいるにもかかわらず、連絡を一切入れないことも悪質性が高いと判断される要素の一つです。ただし病気や事故の程度によっては、連絡を入れる余裕がない場合もあります。当該従業員がどのような状況であったかを、入念に確認しなければなりません。

注意・指導の有無

たとえ従業員が無断欠勤していても、いきなり解雇処分を下すのは望ましくありません。まずは当該従業員に対し、注意・指導をする必要があります。注意・指導を何度かしたにもかかわらず、さらに無断欠勤を繰り返すときは、正当な解雇と認められやすくなります。

就業規則の定め

従業員を解雇するには、就業規則で解雇事由を明示しなければなりません。見やすい場所に備え付け、誰もが内容を確認できるように保管する必要があります。

従業員(パート・アルバイト含む)を常時10人以上雇用している会社の場合、就業規則の作成および労働基準監督署への届出は義務です。違反すると、30万円以下の罰金に処される恐れもあります。

解雇事由が正当と判断されるためにも、就業規則を作成するときはなるべく弁護士の力を借りたほうが賢明です。内容を細かくチェックしてもらい、解雇が正当と認められやすい状態をつくりましょう。

無断欠勤による解雇をする手順

無断欠勤を理由に解雇するときは、次の手順で進めるのがおすすめです。

  1. 安否確認・欠格事由の確認
  2. 指導・注意喚起
  3. 出勤命令の発出
  4. 証拠の収集・保全
  5. 解雇予告・解雇通知
  6. 解雇の実施

各プロセスでの注意点について解説します。

安否確認・欠勤理由の確認

従業員が無断欠勤していたら、まずは安否確認や欠勤理由の確認をしましょう。本人に電話をかけたり、メールやLINEを送ったりしてください。

本人に直接連絡が取れないときは、家族や緊急連絡先への確認も必要です。相手の無事を確認しつつ、いつ会社に来れそうかを把握しておきましょう。

指導・注意喚起

欠勤理由を確認し、従業員側に責任があるときは指導や注意喚起をします。指導する際に意識したいポイントは、経過を記録に残すことです。

内容を記録しておくと、今後争いごとに発展したとしても自社が有利に働きやすくなります。加えて指導・注意するときは、感情的にならず粛々と対応してください。

出勤命令の発出

正当な理由がないにもかかわらず、従業員が無断欠勤を繰り返す場合は出勤命令も有効です。会社は賃金を払っているため、本来であればその分の仕事をしなければなりません。

したがって無断欠勤が悪質と判断されたら、出勤を強いることも可能です。電話やメールではなく、内容郵便証明など証拠の残りやすい方法を用いましょう。

証拠の収集・保全

無断欠勤を理由に解雇する場合、従業員側から訴えられるケースも珍しくありません。今後の訴訟に備え、出退勤記録(タイムカード)や勤怠システムの記録を収集しておく必要があります。ほかにも指導の記録や出勤命令の証拠を保管し、相手が無断欠勤していることを証明できるようにしましょう。

解雇予告・解雇通知

指導や出勤命令を試しても解決できないときは、解雇を検討しましょう。労働基準法第20条の規定により、解雇時には原則として30日前に解雇予告をするか、30日分の賃金を支払わないといけません。

解雇予告するには、文書で「解雇予告通知書」を送付する必要があります。やむを得ない場合は即時解雇ができることもあるものの、リスクが大きいため極力避けたほうが賢明です。

解雇の実施

解雇を実施する際には、該当の従業員に「解雇通知書」を渡します。「解雇通知書」には解雇の理由を記載しておき、相手からサインをしてもらわないといけません。

即時解雇であれば、解雇予告手当の支払いが必要です。手当額は「平均賃金(1日分)×30日に足りない日数分」で計算されます。

問題社員対応について当事務所でサポートできること

晴星法律事務所では、こうした問題社員の対応についてさまざまなサポートをいたします。まず紹介するのは、解雇手続きに必要な就業規則の作成です。具体的には、以下の業務をサポートしています。

サポート内容金額
就業規則のチェック11万円〜
就業規則の作成22万円〜

また解雇された従業員から訴えられるリスクにも備えないといけません。晴星法律事務所は、労働紛争に関するサポートも提供しています。サポート内容ごとの着手金は次のとおりです。

サポート内容金額
交渉22万円〜
労働審判33万円〜
訴訟44万円〜

なお報酬金は、経済的利益の10%に設定しています。各サポートの具体的な金額は、個別ごとにお見積りいたします。

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代表弁護士 下川絵美

この記事の監修者

代表弁護士 下川絵美
私は,大学を卒業してから一般企業で勤務していた際,人の役に立てる仕事をしたいと突然思い立ち,司法試験を受け,弁護士登録以来ずっと広島で業務を行っています。
どのような事件であっても,法律事務所にご相談に来られる方は,みなさま様々なご事情を抱えておられます。私たちは,そのようなご依頼者様一人一人のご事情に応じて,専門的知見に基づいたベストな方法を検討し,ご依頼者様とともに,納得のいく解決を目指し,日々精進しています。
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