派遣社員として会社に勤務していたものの、業務内容や人間関係に悩まされることもあるでしょう。出勤するのが億劫だとしても、決して無断欠勤を選んではいけません。
この記事では、派遣社員が無断欠勤をするとどうなるかについて詳しく解説します。リスクと対処方法も取り上げるので、派遣社員として働いている方はぜひ参考にしてください。
無断欠勤した場合の派遣社員はどうなる?
派遣社員が無断欠勤した場合、一般的に以下の手続きが採られます。
- 派遣会社からの連絡
- 派遣会社から派遣先への連絡
- 派遣契約の解除
- 損害賠償請求
それぞれのプロセスにおいて、どういった対応が考えられるかを解説していきます。
派遣会社からの連絡
派遣社員の無断欠勤が続いていると、派遣会社の担当者から当該社員に対して連絡が入ります。安否確認ができるまでは、メールや電話連絡を何度もするのが基本的な対応です。
本人とどうしてもやり取りできないときは、派遣社員の配偶者または親などに連絡をします。どの方法を選んでも本人の安否が確認できなければ、警察に捜索願が提出されることもあります。
無断欠勤をする際に、連絡が来ないように携帯電話の電源を切る人もいるでしょう。しかしきちんと対応しなければ、事がどんどん大きくなってしまいます。
派遣会社から派遣先への連絡
無断欠勤をされている派遣先は、派遣社員と派遣会社に対して憤りを感じているでしょう。派遣社員と連絡が取れない場合、謝罪の意味も込めて派遣会社は派遣先にその旨を伝えます。
また派遣会社は、派遣先に対して人員の埋め合わせをしなければなりません。しかし派遣先からすれば、無断欠勤する人材を送った派遣会社に不信感を抱きやすくなります。
双方の会社の信頼関係が悪化する恐れもあるため、無断欠勤は自分の知らないところで多くの被害を生んでしまいます。
派遣契約の解除
派遣契約は、「やむを得ない事情がある」とみなされたら途中で解除することが可能です。無断欠勤をし、連絡の取れない状態でいると派遣契約が解除される確率も高まります。今後仕事を見つけるのが難しくなる場合もあるので、無責任な対応をするのは必ず避けましょう。
損害賠償請求
無断欠勤で派遣先に重大な損害を与えた場合、損害賠償請求される可能性もあります。主な例として挙げられるのが、ロッカーのカギやセキュリティーカードといった貸与物を返却していないときです。
派遣先で新しくこれらを揃えるうえで、かかった費用を請求されかねません。こうしたトラブルを避けるためにも、辞める際には正当な手続きを採りましょう。
派遣社員が無断欠勤をする理由
派遣社員が無断欠勤をしようとするのには、さまざまな理由が考えられます。一つひとつ紹介するので、仕事と向き合う際の参考にしてください。
体調不良・精神的な不調
派遣社員が無断欠勤する理由として、体調不良が挙げられます。急な発熱や病気を発症したり、事故に遭ったりして連絡ができないケースです。
ほかにも仕事のストレスや人間関係の悩みによってうつ病を発症し、連絡する気力を失っている可能性もあります。
仕事への不満
仕事への不満が高まったとき、無断欠勤を選択する人もいます。不満を抱える理由として挙げられるのが以下のとおりです。
- 業務内容が聞いていたものと違う
- 残業が多すぎる
- 仕事に全くやりがいが感じられない
スキルアップが見込めないと感じてしまうと、出勤する意欲を失いやすくなります。
人間関係の悩み
派遣先の上司や同僚と関係がうまくいかないといった、人間関係の悩みも無断欠勤につながる要因の一つです。いじめやハラスメントを受けたり、孤立感を感じたりすると会社に行きづらくなるでしょう。
こういった人間関係の悩みも、うつ病などにつながる恐れがあるので早めの対処が必要です。
個人的な問題
会社が原因ではなく、個人的な問題で出勤できないケースも考えられます。家族の誰かが病気になったり、事故に遭ったりして面倒を見なければならない場合です。
ほかにも金銭的な問題を抱えている、生活の乱れより起きられないことも要因として挙げられます。寝坊してしまい、会社に行きづらく無断欠勤するケースも珍しくはありません。
無責任さ
社会人である責任がない人の場合、「会社に行くのが面倒くさい」「仕事したくない」という自己中心的な理由で無断欠勤するケースもあります。無責任な人であれば、派遣会社からの連絡を無視することも考えられるでしょう。
社会人としての自覚を持たないと、周囲から信頼されなくなるので注意が必要です。
派遣社員が無断欠勤をするリスク
派遣社員が無断欠勤をすると、以下のリスクを抱える恐れがあります。
- 契約解除・登録抹消
- 損害賠償請求
- 給与の未払い
- 再就職への影響
- 信用の失墜
具体的にどういった危険が存在するのかを詳しく解説します。
契約解除・登録抹消
まず考えられるリスクの一つが、契約の解除です。派遣会社と派遣先の契約が解除されるとともに、派遣社員との雇用関係も終了する可能性が高まります。
また契約解除以外にも、派遣会社から仕事を一切紹介されなくなる恐れもあります。信用失墜に陥れば、登録が抹消される場合もあるので注意が必要です。
損害賠償請求
派遣社員が無断欠勤しただけでは、基本的には損害賠償請求は認められません。労働基準法は、事前に損害賠償額を定めるのを禁じているためです。しかし以下の事情があるときは、例外的に損害賠償請求される場合があります。
損害賠償請求が認められる事由 | 具体例 |
貸与品を返却しなかった | 制服、社員証、工具などを返却していない |
明確な損害を与えた | 納品予定のデータを持ち帰り、派遣先が取引先と契約を打ち切られた |
給与の未払い
労働基準法では、ノーワーク・ノーペイの原則を採用しています。無断欠勤して仕事を休んでいる間は、派遣会社から給料が支払われません。欠勤する以前に発生した給料についても、連絡が取れない状態が続くと、受け取るまでに時間がかかるので注意してください。
再就職への影響
無断欠勤をしてしまうと、自分が再就職する際にも悪影響が及んでしまいます。とくに同じ業界で働こうとした場合、業界内で噂が広まっているケースも考えられるでしょう。転職が不利となる可能性も高まるので、安易に無断欠勤をしてはいけません。
信用の失墜
派遣会社や派遣先との関係にかかわらず、無断欠勤は他者からの信用を失墜させる行為の一つです。仲の良かった同僚も不信感を覚え、周囲に人がいなくなる恐れもあります。
SNSが普及している現代社会において、無断欠勤の事実が拡散されるリスクも否定できません。良好な人間関係を築くうえでも、無断欠勤をするのは避けたほうが賢明です。
無断欠勤をした派遣社員が取るべき対処方法
もし無断欠勤したとしても、絶対に事態を放置してはいけません。トラブルを最小限に収めるためにも、すぐに以下の対処を取ることが重要です。
- すぐに派遣会社に連絡する
- 正直に理由を伝える
- 謝罪する
- 今後の対応を相談する
それぞれの対処方法について詳しく解説します。
すぐに派遣会社に連絡する
無断欠勤をした場合、すぐに派遣会社へ連絡しましょう。間違えて派遣先会社に連絡しないよう注意してください。派遣社員が直接雇用契約を結んでいるのは、派遣先会社ではなく派遣会社であるためです。
連絡が遅れてしまうと警察沙汰になったり、契約解除されたりする恐れもあります。電話が通じないのであれば、メールやチャットでの連絡も視野に入れましょう。
正直に理由を伝える
派遣会社と連絡がついたら、無断欠勤をした理由とすぐに連絡できなかった理由を正直に話してください。このときに嘘をついてしまうと、あとで辻褄が合わなくなる恐れがあります。
また嘘であることが発覚すれば、派遣会社からさらに信用を失ってしまうでしょう。とくに体調面の問題や家庭の事情が絡んでいる場合、相手もきちんと耳を傾けてくれる可能性は高いといえます。
ただし、いくら正直な理由だとしても「仕事がつまらなかった」などと伝えるのは相手に対して失礼です。嘘をつくのはNGですが、表現の仕方には十分気をつけてください。
謝罪する
どのような事情があるにせよ、無断欠勤は派遣会社および派遣先会社に迷惑をかける行為です。無断欠勤をし、すぐに連絡しなかったことについてしっかりと謝罪しましょう。
必ずしも許してもらえるとは限りませんが、迷惑をかけたら謝罪をするのが最低限求められる行為です。うわべだけの言葉ではなく、きちんと心から反省しなければなりません。
今後の対応を相談する
謝罪の連絡を入れたあとは、今後の仕事を続けたいのかどうかを担当者と相談しましょう。もし退職を希望する場合は、きちんと手続きを済ませる必要があります。派遣先からの貸与物を返さないといけないので、その点も踏まえて相談しておくとよいでしょう。
派遣社員本人ができる予防策
無断欠勤を避けるためには、派遣社員本人もあらかじめ予防策を講じる必要があります。どのような行動をすればよいかを詳しく解説します。
日頃から連絡をこまめに取る
まず意識したい行動の一つが、日頃から連絡をこまめに取ることです。派遣会社と日頃の仕事の状況や悩み事を共有しておけば、相談しやすい関係を築きやすくなります。
勤務先の業務内容に疑問を感じたときも、派遣先ではなく派遣会社に連絡を取ってください。
体調や精神的な異変に気づく
体調不良や精神的ストレスを抱えていると、普段の何気ない生活にも表れることがあります。「朝起きるのが辛い」「会社に行きたくない」といったサインを見逃さないでください。
異変を感じたら、無理をせずに休むことも選択肢の一つです。できる限り早めに担当者と相談しつつ、症状が重くならないようにしましょう。
仕事の悩みは抱え込まない
派遣会社は、派遣社員にとってさまざまなサポートをしてくれる心強い味方です。仕事の悩みを一人で抱え込まず、一度派遣会社の担当者と相談してみてください。
業務内容や人間関係の悩みについて、しっかりと耳を傾けてくれます。不満を吐き出すだけで、心が晴れることもあるでしょう。
まとめ
さまざまな事情があるにせよ、無断欠勤は派遣先会社に迷惑をかけてしまう行為です。場合によっては、派遣先に多大な損害を与える可能性があります。
無断欠勤をしないためにも、日頃から派遣会社と良好な関係を築けるようにしましょう。万が一、無断欠勤をしてしまった場合は、迅速に派遣会社へ電話連絡をしてください。