仕事を回すうえで、特に重視したいポイントがチームワークです。一人ひとりが真剣に自分の仕事に向き合い、効率化を図ることが求められます。しかしローパフォーマー社員がいると、チームワークも乱れやすくなります。
この記事で紹介しているのは、ローパフォーマー社員を抱えるリスクと対処法についてです。また京都総合法律事務所がサポートできる内容も紹介しています。対処法を考える際の参考にしてみてください。
人事労務における採用の難しさ
企業からすれば、当然ながら問題社員の採用を避けたいと考えるでしょう。しかし人事労務について、自社の求める人物を採用することは簡単ではありません。ここでは、人事労務者が採用活動を難しいと感じる理由を紹介します。
短時間の採用面接では相手を完全に理解できない
採用の難しいところは、短時間の面接では相手を完全に理解できない点です。企業によって異なりますが、1回の面接の所要時間は30分〜1時間程度となっています。応募者の数が多い企業であれば、20分程度と短時間で設定しないといけないケースもあるでしょう。
私生活の様子が分からない中で、自社が望む人物を見つけ出すのは簡単ではありません。面接となれば相手も自らの悪いところを隠しつつ、良い部分を見せようとするはずです。そのため面接では魅力的に感じた人物が、問題社員であったケースは少なからず起こってしまいます。
学歴や経歴に惑わされてしまう
学歴や経歴に惑わされ、一番大切な「人間性」を見落としてしまいやすい点も採用を難しくさせるポイントです。人間性はさまざまな捉え方があり、明確な評価軸が存在するわけではありません。
一方で学歴や経歴は、履歴書から簡単に判断できる数少ない要素のひとつです。一般的に頭の良い学校を出ていたり、全国的にも有名な大企業に勤めた経験があったりすると、どうしても注目してしまいます。
しかし素晴らしい学歴や経歴を誇る人が、必ずしも企業の理想とする人物に当てはまるわけではありません。学歴や経歴もあくまで評価ポイントのひとつであり、ほかにも重視すべき要素は数多くあります。とはいえ瞬時に判断できる部分が少ないのが、採用をさらに難しくさせています。
そもそも市場に人材が少ない
採用が難しくなっている要因には、そもそも市場に人材が少ない点も挙げられるでしょう。特に応募者の数が少なくなるのは、中途採用で募集をかけているときです。
中途採用の場合は、自社が欲しいタイミングで応募者が集まるとは限りません。人手不足かつ応募者の数も少ない企業は、ローパフォーマー社員を採用してしまうリスクも高まります。
また2024年時点では、売り手市場と呼ばれる状況が続いています。つまり就活生と比較して、企業の数が多いのが現状です。したがって新卒採用においても、自社の理想とする人物を探し出すのは難しくなりつつあります。
ローパフォーマー問題社員について
ローパフォーマー社員とは「low(低い)」「performer(実行者)」、要するに仕事において能力が不足している問題社員のことです。彼らにはある共通の特徴があるので、具体的に解説しましょう。
何度も同じミスをする
ローパフォーマー社員の特徴として挙げられるのが、何度も同じミスをすることです。社員がこのような失敗を繰り返すのは、以下の要因が考えられます。
- 全く反省せず改善法を自分で見つけようとしない
- ミスがどういったトラブルにつながるかを想像できない
- 自分は悪くないと考えている(他責思考)
- カバーしてくれる同僚やクライアントに対して何も感じていない
社員に何度もミスをされると、仕事全体の進みが遅くなります。結果的に効率良く利益を得るのが難しくなり、関わっているクライアントにも迷惑をかけてしまうでしょう。
上司や責任者は、社員がミスを繰り返さないような指導をしなければなりません。しかしローパフォーマー社員の中には、そのアドバイスにも耳を傾けない人が少なからず存在します。
仕事において主体性がない
仕事において主体性がない点も、ローパフォーマー社員の特徴のひとつです。指示されたことしかやろうとせず、自分自身で動けない人を抱えると企業のパフォーマンスは落ちてしまいます。
AIの台頭や価値観の多様化が進む社会の中で、企業は常に変化が求められます。その変化に対応するためにも、社員一人ひとりが主体性を持って仕事に取り組まないといけません。
主体性のないローパフォーマー社員は、自分の仕事さえ終わらせればよいと考える傾向があります。そのため手が空いていても、周りの同僚をフォローする姿勢がない人も少なくありません。上司は日頃から指示を与えなければならず、仕事への負担も大きくなります。
勤務態度に問題がみられる
勤務態度に問題がある人も、ローパフォーマー社員に数えられる要素のひとつです。態度の悪い例として、以下のケースが挙げられます。
- 仕事中にも関わらずスマホやパソコンでネットサーフィンをしている
- 残業代を稼ぐために日中は仕事をしない
- 無断欠勤や遅刻を繰り返す
- 社内を歩き回って無駄に同僚たちと会話しようとする
勤務態度の良し悪しは、仕事ができるかどうかよりも重視しなければなりません。このような問題行動が見られる社員を放置していては、社内の秩序が乱れる恐れもあるためです。
また誰かが自分の仕事を放棄すれば、周りの社員でカバーし合う必要があります。結果的に仕事全体の進みが遅くなり、企業のパフォーマンスも落ちてしまうでしょう。
報連相ができない
報連相ができない人も、ローパフォーマー社員に該当します。仕事をするうえで、周囲とのコミュニケーションは必要不可欠です。同僚やクライアントと上手く連携できなければ、結果的に重大なミスを引き起こすリスクが高まります。
また自分の犯したミスを隠蔽しようと、周りに相談しないローパフォーマー社員もいます。こちらも大きなトラブルに繋がりやすい危険因子のひとつです。プライドが高かったり、叱られ慣れていなかったりすると人はミスを隠しやすくなります。社員がこのような行動を取らないためにも、日頃から社内全体でカバーし合う環境を作ることが大切です。
自分は「できる社員」と思い込んでいる
ローパフォーマー社員の一番の問題点は、自分が「できる社員」と思い込んでいることです。能力不足であるのを自覚しておらず、上司から注意されても改善しようとしません。そのため当該社員は、最終的に会社のお荷物となってしまいます。
一方で社員が「自分はできる人間」と思い込む理由として、企業側の理想像が社内に浸透していない可能性が挙げられます。会社の目指している方向性をしっかりと示し、社内全体が目標に向かって仕事できる環境を作りましょう。
ローパフォーマー問題社員を放置するリスク
ローパフォーマー社員を放置すると、企業にとってもさまざまな問題を抱える恐れがあります。ここでは、特に注意してほしいリスクを解説しましょう。
コストパフォーマンスが低下する
まず1つ目のリスクとして挙げられるのが、コストパフォーマンスの低下です。ローパフォーマー社員を抱えると、大した業績を上げられずに余計な人件費もかかります。ほかの社員もサポートに回らなければならず、全員が自分の仕事を進められなくなる可能性もあります。
ローパフォーマー社員が一人いるだけでも、チーム全体の士気が下がりかねません。結果的に、より一層生産性が低下する悪循環に陥りやすくなります。決して放置せずに、社内のコストパフォーマンスを高めるための対処を考えることが大切です。
仕事の割り振りに偏りが生じる
ローパフォーマー社員が改善されなければ、難しい仕事が割り振られなくなるでしょう。そうすれば、必然的にチーム内のメンバーの仕事量が増えてしまいます。
この状況の中で業務を進めてしまうと、負担が大きくなった社員の心身が疲弊するリスクも高まります。優秀な人物が病気を患って長期間の休暇を取ったり、退職したりするケースにもつながるので注意が必要です。一人の社員に負担を抱えさせないよう、十分に配慮してください。
チームワークにヒビが入る恐れも
ローパフォーマー社員を放置していると、社内のチームワークにもヒビが入る恐れもあります。同僚も問題社員をサポートしてばかりいれば、自分の仕事が終わらないことに腹を立ててしまうでしょう。この状況が改善されず、不満に感じる人が増えれば組織全体の環境も悪くなります。
無論、仲間をフォローし合う関係を構築すること自体は大切です。しかし助けられる側が全く努力をしていなければ、フォローする側も心身が疲弊してしまいます。できる社員の気持ちも汲み取っていかないと、社内全体の空気も悪くなるので注意しましょう。
問題社員対応について当事務所でサポートできること
問題社員への対応方法を考えるうえで、下川法律事務所では以下のようなサポートを行っています。
- 問題社員への対応に関する法的なアドバイス
- 待遇を見直す方法に関するアドバイス
- 解雇手続きのサポート
- ハラスメントや不当解雇と言われたときの対処法の伝授
- 裁判に発展しそうな場合のサポート
事業者が特に気を付けたいのが解雇の手続きです。問題社員を社内から追い出すべく、解雇を検討している事業者も少なからずいるでしょう。しかし正しいプロセスを踏まないと、訴訟を提起された際に不利になる恐れがあります。
仮に真っ当な手続きを採ったとしても、逆恨みした相手が訴訟を提起するケースも考えられます。弁護士にあらかじめ相談していれば、会社にダメージを与えない対処法の提案が可能です。問題社員への対応に悩んでいる事業者は、できる限り早く当事務所に相談してみてください。
まとめ
ローパフォーマー社員を抱えていると、仕事のコストパフォーマンスや社内の雰囲気が悪くなるリスクを高めます。問題が大きくなる前に、しっかりと対処法を考えなければなりません。
とはいえ、対処法を誤ると法的にも立場が不利になってしまいます。被害を最小限に抑えるためにも、弁護士と上手く連携を取るようにしましょう。