宅建取引業者や不動産業においては、不動産売買契約書・賃貸借契約書を状況に合わせて的確に作成しなければ、後のトラブルに適切に対処することが出来ません。
その他、不動産売買の際のトラブルへの対応、所有物件や管理物件における賃貸借トラブル(賃料滞納・明渡請求・賃料増減額請求)等、様々な法律問題が発生しえます。
もちろん、従業員との労務トラブルやクレーム対応等、他業種と共通のトラブルもありますので、以下、これらの法的トラブルについて解説します。
不動産売買契約書・賃貸借契約書等のリーガルチェック
不動産業者においては、売買や賃貸借など、日常的に不動産取引を行っていますので、これらの取引に関する契約書の整備が不可欠となります。
弊所においても、「専門ではない担当者が作ったため、一度専門家に見てもらいたい。」とか、「以前に作ったひな形を使用し続けていて、現状に合っていないかもしれない。」等といったご相談をお受けすることがあります。
契約書は、いうまでもなく、取引において何かトラブルが起こったときに要となるものであるため、その内容は明確であるとともに、自社にとって有利なものとなっている必要があります。
他方で、自社に一方的な有利な契約書は、先方に受け入れられないこともありますので、契約時、自社において譲ることが出来ない点は何であるか、一方で、どのような点であれば譲ることが出来るのかについて、適切に検討しながら作成していくことが必要です。
この点、初めて弁護士にご相談いただく場合には、上記の現状を十分に把握するために、しっかりとした聴き取りを行った上で、十分な調査を行うための時間を要したり、また、一度には把握しきれず、自社の現状を十分には把握してもらえないこともあり得ます。
この点、顧問弁護士であれば、業務に関する相談を日常的に受けていることから、自社の実態を十分に把握した上で、適切な契約条項を早期に検討することが可能となりますので、顧問弁護士サービスについてもご検討をいただければと思います。
なお、リーガルチェックについては、契約書のページもご覧いただければと思います。
売買紛争への対応
不動産売買においては、瑕疵担保責任の問題、引渡や代金支払の履行遅滞等の債務不履行問題、修繕やリフォームに関する不履行、競売物件購入時の不退去問題等、様々な法的トラブルが発生することがあります。
適切な契約書の条項により、想定しうるトラブルに一定程度備えることが出来ますが、想定外のトラブルが発生することもあり、また、契約書に記載があったとしても、先方がこれを遵守しない場合には、法的手続を行うことが必要な場合もあります。
この点、トラブルが大きくなってから弁護士に相談するのでも良いのですが、早期の段階でご相談いただけることで、例えば内容証明の送付等、簡易な手続きで解決することもあり、裁判にまで発展しないことも多いといえます。
弊所においては、顧問弁護士サービスのご利用で、ご相談の優先対応等も行っておりますので、早期にご相談いただくことが可能となっております。顧問弁護士サービスの内容についてはこちら
賃貸借紛争への対応
・賃料未払問題・退去請求
不動産賃貸業を自ら経営したり、あるいは、管理会社として賃貸不動産を管理する場面では、賃料滞納問題も避けては通れない問題といえます。
賃料滞納が発生した際は、時間が過ぎれば過ぎるほど、滞納賃料がかさんでいき、また、賃料を滞納するような賃借人には資力が乏しいことが予想されることからすると、滞納額が膨らめば膨らむほど回収可能性は下がるといえるでしょう。このため、賃料滞納が発生したら、できるだけ早期の段階で対応することが重要となりなす。
もちろん連帯保証人を立てていればに連帯保証人に請求することもありますが、煩雑ですし、連帯保証人にも資力がない場合もあります。繰り返す場合には、退去させることも検討しなければなりません。
その場合、まずは、催告・契約解除の内容証明を送付したうえで、退去に向けた交渉を行っていくことになるでしょう。その際、弁護士から内容証明を発送し、退去の交渉を行うことで、裁判を避けたい賃借人が、早期に退去する可能性もありますので、賃料滞納が発生したら、早い段階でご相談いただければと思います。不動産のページでもご紹介したとおり、賃貸借契約の解除には信頼関係の破壊が必要となりますので、それまでの経過等も含め、どの段階(何ヶ月滞納があった段階)で解除の通知を送るが良いのかについて、一緒に検討していくことになります。
この点、最近は、賃貸借契約の段階で保証会社へ保証を依頼するケースも増えています。賃借人に保証料の支払いが発生するという意味で、ハードルもありますが、賃料未払問題に備える意味では、利用を検討するのが良いでしょう。
・その他の理由による退去請求
建物が老朽化しており、建替えを検討する場合、賃借人に退去を求めることが必要になります。この点、借地借家法により、賃借人の立場は非常に強力なものになっているので、「正当な事由」がない限り、立ち退きは認められません。
この点、単純に建物が多少老朽化しているという事情だけでは、正当な事由は認められない可能性が高く、立退料の支払いも検討しなければなりません。
立退料の金額については、正当な事由のその他の要素にもよりますし、交渉であれば、賃借人が早期に応じてくれる可能性も十分にありますので、老朽化による建替え・それに伴う賃借人への退去請求をご検討の場合には、ご相談いただければと思います。
・ゴミ屋敷等の用法違反による退去請求
ゴミ屋敷問題・汚部屋問題は近年クローズアップされています。
不動産オーナー側としては、保有不動産の価値低下のみならず、他の入居者の退去にもつながる死活問題です。多くの場合、契約書に、「賃借人が、居室内で、不潔その他近隣の迷惑となる行為をしたときは、契約を解除することが出来る」というような内容の条項が入っていますので、これに基づき、あるいは、不動産賃貸借契約における信頼関係が破壊されたとして、解約の解除をしたうえで、退去を求めるという流れになります。ただし、信頼関係が破壊されたといえるためには、事前の交渉等段階を追った対応を求められます。また、ゴミ屋敷問題を抱える賃借人は、自身で退去作業ができない場合もあり得ますので、場合によっては、賃貸人の方で引っ越し作業を手配することも含めた交渉を行う方がかえって早期に解決する場合もあります。
用法違反による退去請求における対応はケースバイケースですので、自社の保有物件についてゴミ屋敷問題にお悩みの企業様は、ご相談いただければと思います。
なお、まずは、自社の賃貸借契約書のひな形も確認し、上記用法違反の条項がない場合には、以後の契約においては、用法違反の条項を入れることも検討しましょう。
その他のトラブル
もちろん、不動産業者においても、労務トラブル・クレーム対応等の他業種同様の法的トラブルも当然考えられますので、労務トラブルのページ、クレーム対応のページもご参照いただければと思います。
以上のとおり、不動産業者につきましては、不動産売買契約・賃貸借契約等日常的に契約に関わっている業種であるため、契約に関するトラブルを事前に回避するため、あるいは、トラブルが発生した場合に早期に対処するために、顧問弁護士サービスのご利用をおすすめいたします。
弊所の顧問弁護士サービスについては、こちらもご覧いただければと思います。