カスタマーハラスメントとは?介護業でよくある事例を弁護士が解説!

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介護事業を営むうえで、注意しなければならないのがカスタマーハラスメントです。

事業者のなかには「利用者から理不尽なクレームを付けられて対応に困っている」といった悩みを抱える人もいるでしょう。

この記事では、介護事業者に向けてカスタマーハラスメントの事例と対処法について解説します。今後の業務でも重要なポイントとなるので、しっかりと内容を押さえてください。

カスタマーハラスメントとは?

カスタマーハラスメントとは、サービスの利用者(顧客)側から受けるハラスメントの一種です。介護事業に限らず、あらゆる業界で問題視されています。

カスタマーハラスメントを受けた場合、民事訴訟の結果次第では損害賠償の請求が可能です。さらに暴行罪や脅迫罪に該当すれば、刑事事件として扱われることもあります。

無論、正当なクレームについては真剣に耳を傾けなければなりません。一方で正当なクレームとカスタマーハラスメントは、明確に区別されます。「お客様は神様」という考え方にとらわれすぎず、限度を超えた言動や行為には厳しく対処しましょう。

介護業でよくあるカスハラを放置するリスク

続いて、介護業に限定してカスタマーハラスメントを説明します。トラブルに関与したくないからと放置していると、次のようなリスクにつながってしまいます。

  • 貴重な人材を失う
  • 事故や訴訟などと別のトラブルを生む

以上の危険性を理解したうえで、真剣に対処法を考えることが大切です。

従業員の休職や退職につながってしまう

カスタマーハラスメントへの対応を疎かにしていると、心身を疲弊した従業員が休職・退職する確率を高めてしまいます。

介護業界において、まず意識しなければならないポイントは一人ひとりの従業員を守ることです。クレームに対して真摯に向き合いつつ、従業員の負担をできる限り減らす必要があります。

仮に従業員がうつ病を発症した場合、カスタマーハラスメントが原因であっても、労働災害として扱われるようになりました。つまり単純な個人間の問題ではなく、会社が率先して対応しなければなりません。

特に介護職は、全体的に人手不足が問題となっている業界です。休職者や退職者を増やしてしまったら、業界全体の人手不足に拍車をかける恐れもあります。事業全体のイメージダウンを避けるためにも、各事業所が責任を持って問題解決に取り組むことが大切です。

事故に発展する恐れがある

介護職は、高齢者および障がい者の日常を支える重要な仕事です。少しの判断ミスが大きな事故に直結しかねないので、一人ひとりが業務に集中できる環境を作らないといけません。

ただしカスタマーハラスメントの被害に遭っている従業員は、少なからずメンタルにも支障が出るでしょう。事業者側が率先して解決に取り組まなければ、不信感からチームワークにもヒビが入る可能性もあります。

従業員のメンタルケアは、施設の安全面にも影響を与えます。大きな事故に発展しないために、抱えている問題をしっかりと解決しましょう。

従業員から損害賠償を請求されるケースもある

カスタマーハラスメントへの対応を怠っていると、従業員から損害賠償を請求されるケースもあります。なぜなら介護施設を含めた全ての事業所は、従業員が安全に従事できる環境をつくる義務があるためです(安全配慮義務)。

事業者のなかには、「トラブルを起こしているのは利用者なのに、我々が責任を負うのはおかしい」と考えている人もいるかもしれません。しかし事実を認識しているにもかかわらず、何も対処しないのは安全義務違反に該当します。

従業員との訴訟問題まで抱えていたら、さらにカスタマーハラスメントへの対策が遅れてしまうでしょう。

介護現場での利用者からのカスタマーハラスメントの事例について

事業所の利用者からのカスタマーハラスメントについて、実際に起こりうる事例を紹介します。これらの事例を把握しつつ、現実に起こった場合の対策案を考えてください。

身体的な暴力を振るわれる

まず一般的に起こりうるカスタマーハラスメントが、利用者に暴力を振るわれるケースです。主な具体例として、以下の行為が考えられます。

  • 殴られる
  • コップや食器を投げられる
  • 髪の毛を引っ張られる
  • 飲料水をかけられる
  • 身体にツバを吐かれる
  • 衣類やメガネを壊される

殴る・蹴るのみならず、水をかけるといった行為も暴力に該当します。食事やお風呂などの時間、このような問題行動がないかをチェックしてください。もし被害に遭った従業員がいたら、確実に原因を突き止めることが大切です。

また凶器になりそうな道具を置いたままにしていると、従業員および利用者のケガのリスクを高めてしまいます。職場の整理整頓に努め、常に周囲の安全を確保しましょう。

精神的に攻撃される

身体に直接危害を加えられなくとも、精神的に攻撃されるケースもあります。具体例として挙げられるのが、以下のとおりです。

  • 複数人が見ている前で大声で怒鳴られる
  • 自分をターゲットにして圧力をかけられる
  • 人格や容姿、学歴などを否定される
  • 理不尽なサービスを執拗に要求する

特に高齢者となると、精神的な不安からうつ病を患う人も少なくありません。暴言を吐くといった行為も、うつ病の症状により引き起こされている可能性もあります。

仮に従業員が上記の事情を把握していても、ハラスメントを受け続けていたら心身が疲弊してしまいます。利用者の言動にも注意を向けるようにしましょう。

セクハラの被害に遭う

ほかにも利用者からセクハラの被害に遭うケースも考えられます。セクハラと定義されるものとして、以下の行為が該当します。

  • 身体を必要もなく触られる(触らせようとする)
  • 卑猥な言葉をかけられる
  • 卑猥な写真・動画を見せられる
  • 性的な要求をされる

介護は、利用者と体を接する機会が多い仕事です。そのためセクハラにあたる行為をされても、周囲が気付かない場合も少なくありません。こうしたリスクを防ぐためには、複数人で業務を行うといった工夫が必要です。

セクハラは、必ずしも男性から女性に向けた行為を指すわけではありません。男性が被害に遭ったり、同性同士で見られたりする場合もあるので注意してください。

介護現場での利用者以外からのカスタマーハラスメントの事例紹介

利用者の家族などからも、カスタマーハラスメントを受ける可能性があります。特に多いのは、精神的に攻撃されるケースです。ここでは、具体的にどのような事例が見られるかを解説します。

利用者家族から特別扱いを求められる

まず注意したいカスタマーハラスメントは、利用者家族から特別扱いを求められた場合です。主に以下のような例が挙げられます。

  • 入浴回数を増やせとクレームを入れられた
  • 室内でタバコを吸わせるように要求された
  • 昼食代の費用が高すぎるなどと言われた

このようなクレームを全て飲んでしまうと、施設の秩序が乱れてしまいます。事業者側は理不尽な要求をされても、毅然とした対応を心がけなければなりません。

場合によっては、利用者家族側も自分たちの要求が理不尽であると思っていない可能性があります。そのためポスターを作成し、施設側のルールをあらかじめ提示しておくのも方法のひとつです。

従業員のミスに対して執拗に責め続ける

長期間にわたり業務を続けていれば、ベテランの介護職員でもミスをしてしまうものです。そのミスに対して、あまりにも執拗に責め続けるのもカスタマーハラスメントの一種といえます。

無論、何かトラブルが発生したら利用者を心配するのは家族として当然のことです。とはいえハラスメントに該当する行為は、たとえ施設側に落ち度があったとしても許容されるものではありません。

クレームがエスカレートすると長時間居座られたり、頻繁に電話をかけられたりするリスクがあります。度が過ぎる言動や行動が見られたら、今後の対応に向けて証拠や記録を残すようにしましょう。

利用者家族からパワハラ・セクハラを受ける

利用者だけではなく、利用者家族からパワハラやセクハラを受けるケースもあります。ターゲットにされている従業員はいないか、利用者家族の悪い噂がないかを事業者はしっかりと調べましょう。

特に相手が特定の従業員に恨みを持っていたり、逆に好意を寄せていたりする場合は危険です。この状況を放置していると、ストーカーとなって付きまとう可能性があります。従業員を守るためにも、施設がチーム一丸となって問題に対処しなければなりません。

トラブルが大きくなりそうなときは、自分たちだけで解決しようとせずに警察や弁護士に頼ったほうが賢明です。法律および事件のプロを味方に付け、少しでもリスクを減らすように努めてください。

介護現場でのカスタマーハラスメントについて当事務所でサポートできること

当事務所では、介護現場でのカスタマーハラスメントにかかる法的手段のサポートを行います。男性弁護士と女性弁護士が在籍しており、チームとして課題に取り組みます。

これまでも労働問題を中心に、多岐に渡る分野で事件を解決しました。依頼者様が安心して相談できるよう、お互いの距離感を特に重視しています。

法律を巡るトラブルは極めて難解であり、初心者だけで戦っても泣き寝入りする可能性を高めてしまいます。何かお困りのことがあれば、できる限り早めに当事務所へご相談ください。

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代表弁護士 下川絵美

この記事の監修者

代表弁護士 下川絵美
私は,大学を卒業してから一般企業で勤務していた際,人の役に立てる仕事をしたいと突然思い立ち,司法試験を受け,弁護士登録以来ずっと広島で業務を行っています。
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